東京地方裁判所 昭和47年(特わ)513号 判決 1972年6月30日
被告人
1
本店所在地 東京都新宿区西大久保二丁目二五三番地
合資会社
黒田製作所
(右代表者無限責任社員 黒田保郎)
2
本店所在地 東京都新宿区西大久保二丁目二四四番地
株式会社黒田製作所
(右代表者代表取締役 黒田保郎)
3
本籍 東京都中央区日本橋小網町三丁目一番地一
住居
東京都新宿区西大久保二丁目二五四番地
職業
会社役員
黒田保郎
大正二年一一月二二日生
被告事件
法人税法違反
出席検察官
宮本善光
主文
1 被告人合資会社黒田製作所を罰金二五〇万円に、被告人株式会社黒田製作所を罰金四〇〇万円に、被告人黒田保郎を懲役六月にそれぞれ処する。
2 被告人黒田保郎に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人合資会社黒田製作所は、東京都新宿区西大久保二丁目二五三番地に本店を置き、電気器具の製造販売等(昭和四七年三月三日以前は医療器械り製作および販売等)を目的とする出資金三〇万円の合資会社であり、被告人株式会社黒田製作所は、東京都新宿区西大久保二丁目二四四番地に本店を置き、医療器械の製作および販売等を目的とする資本金一、二〇〇万円の株式会社であり、被告人黒田保郎は、右被告会社二社の各代表社員として両会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人黒田は、右被告会社二社の業務に関し、法人税を免れようと企て、それぞれ売上の一部を除外して簿外預金を設定する等の不正な方法により、所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四三年八月一日から同四四年三月三一日までの事業年度における被告人合資会社黒田製作所の実際所得金額が三三、二七〇、一六九円あつたのにかかわらず、昭和四四年五月三一日東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八、一四七、九五四円でこれに対する法人税額が二、四六三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度における正規の法人税額一一、二三九、九〇〇円と右申告税額との差額八、七七六、四〇〇円を免れ(別紙一、三)
第二、昭和四四年四月一日から同四五年三月三一日までの事業年度における被告人株式会社黒田製作所の実際所得金額が六二、〇九五、〇一七円あつたのにかかわらず、昭和四五年五月二九日前記淀橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一九、四〇九、三六八円でこれに対する法人税額が六、三七三、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度における正規の法人税額二一、三〇六、一〇〇円と右申告税額との差額一四、九三二、四〇〇円を免れ(別紙二、三)
たものである。
(証拠の標目)(かつこ内は立証事項で、数字は別紙一、二の番号)
一、登記官作成の登記簿謄本三通(全般)
一、大蔵事務官作成の次の書面
1 預金残高および収入利息等調査書(合資会社黒田製作所分)(一の2 3 4)
2 右同(株式会社黒田製作所分)(二の2 3 5)
3 安田信託銀行本店貸付信託各期末現在高の調査書(一の5)
4 貸付信託各期末現在高の調査書(二の9)
5 43・7・31現在簿外たな卸調査書(一の6 7 18)
6 44・3・31現在簿外たな卸調査書(一の6 7 18、二の6 8)
7 45・3・31現在簿外たな卸調査書(一の7、二の6 8)
8 社長勘定の調査書(一の11、二の23)
9 個人(黒田保郎)分預金残高および収入利息等調査書二通(一の11、二の23)
10 公社債投資信託(割引債)の各年度期末残高および各年度中の割引額調査書(一の11、二の23)
11 公社債投資信託(利付債)各年度期末残高およびその受取利息調査書(一の11、二の23)
12 専務勘定の調査書(一の12、二の24)
13 個人(黒田利郎)分預金残高および収入利息等調査書二通(一の12、二の24)
14 理事長勘定の調査書(一の13、二の25)
15 個人分預金残高および収入利息調査書二通(一の13、二の25)
16 減価償却資産の償却額の計算書(合資会社黒田製作所分)(一の17 19 21)
17 右同(株式会社黒田製作所分)(二の14 15 16 18)
18 簿外輸入カーボン仕入状況の調査書(一の15、二の12)
19 寄付金の調査書(一の32、二の31)
20 寄付金の損金不算入額の計算書(合資会社黒田製作所分)(一の32)
21 右同(株式会社黒田製作所分)(二の31)
22 簿外交際費の調査書(一の33、二の32)
23 交際費の損金不算入額の計算書(合資会社黒田製作所分)(一の33)
24 右同(株式会社黒田製作所分)(二の32)
一、次の者に対する大蔵事務官の質問てん末書
1 中村寛(全般)
2 平山喜久子(全般)
3 黒田保次郎(昭和四六年七月一六日付)(一の22、二の19)
4 右同(同年九月二九日付)(一の1、二の1)
5 右同(昭和四七年一月一二日付)(一の1、二の1)
一、株式会社日本勧業銀行茅場町支店長本城治喜作成の預金等取引について(二の23)
一、安田信託銀行株式会社本店信託第一課長森哲弥作成の証明書(一の5、二の9)
一、右同銀行本店外国部長桜井雅芳作成の証明書(一の15、二の12)
一、三菱信託銀行本店営業第一部長橋本吉隆作成の貸付信託等取引について(二の9)
一、淀橋税務署長寺崎五郎作成の証明書(二の27)
一、押収してある次の証拠物(昭和四七年押一〇三二号)
1 元帳二綴(符号1、2)(全般)
2 主要取引一覧一葉(同8)(一の4、二の5)
3 法人税決議書綴二綴(同10、11)(全般)
一、被告人黒田作成の次の上申書
1 国産カーボン輸入カーボンの四六年三月末在庫について(一の6、二の6)
2 財産帰属に関する議事録写の提出について二通(一の5、二の9)
3 簿外現金の期末在高について(一の1、二の1)
4 合資会社黒田製作所四三年七月期までの税務署更正所得の公表受入等について(一の11 24 27、二の23)
5 黒田保郎個人の家賃収入について(一の11、二の23)
6 修正確定申告書提出について(一の9 27 31)
一、被告人黒田に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)
一、被告人黒田の検察官に対する各供述調書(全般)
一、被告人黒田の当公判廷における供述(全般)
(法令の適用)
各被告人会社について各法人税法一五九条、一六四条一項。被告人黒田について各同法一五九条(各懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第二の罪の刑に加重)。同法二五条一項(主文2)。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙一 修正貸借対照表
合資会社黒田製作所 昭和44年3月31日
<省略>
<省略>
別紙二 修正貸借対照表
株式会社黒田製作所 昭和45年3月31日
<省略>
<省略>
別紙三 税額計算書
1. 合資合社黒田製作所
<省略>
2. 株式会社黒田製作所
<省略>